家庭内暴力はどの国、文化でも発生し、社会的および経済的な影響を及ぼします。 家庭内暴力にはパートナー、子供、高齢の家族にふるわれた身体的および精神的な虐待などがあります。そして被害者の多くは、女性や子供だったりします。 世界保健機関は近親者による暴力(IPV)が世界の女性に対する暴力の3分の1を占めており(1)、一部の国では女性のほぼ半数が家庭内暴力を経験していると推定しています(2、3)。
調査によると人格問題、文化的態度、ジェンダー規範、社会的および経済的不平等が家庭内暴力の主な原因のであることがわかっています(4-6)。 家庭内暴力とメンタルヘルスの問題にも関連性があり(5、7、8)、加害者がメンタルヘルス障害を抱えているリスクは高いです(7)。
家庭内暴力とアルコール、その他の物質の乱用にも関連性があります。 しかし、家庭内暴力はお酒が絡んでいなくても発生し、また、飲酒が禁止されている一部の国では家庭内暴力が蔓延しています(1、3、9、10)。
アルコールとIPVの関与、および他の危険因子との相互作用は複雑に絡み合っています(11-13)。 家庭内暴力防止に取り組む人々によると、飲酒だけをきっかけとする暴力行為が起きることはないそうです。 お酒を嗜む多くの人はパートナーや家族を虐待したり、他人に対して攻撃的になったりすることはなく、また虐待者はしらふなときでも暴力的であります(14-16)。
ただし、アルコールは抑制機能を低下させ、過剰に飲むと暴力的または虐待的になる可能性があります(17-19)。 調査によるとアルコール乱用や脳外傷による神経精神医学的問題の可能性は一般的な人に比べ、IPV加害者の方がリスクが高いことがわかっています(20)。 有毒ともとれる「男らしさ」を掲げる文化も、家庭内暴力の重要な要因であり(21)、アルコール乱用と関連している可能性があります(22)。
また、国や文化を超えて実施された調査では家庭内暴力の犠牲者のアルコール乱用率が高いことがわかっています(23)。
Covid-19のパンデミックの最中、ロックダウンと制限により被害者の多くが虐待者から逃れなくなり、家庭内暴力が増加しました(24、25)。 いくつかの調査でパンデミック中にアルコール乱用を含む薬物乱用の増加が報告されていますが、2つの間に直接的な相関関係があるかどうかはわかりませんでした (25)。
家庭内暴力の原因は一つではありません。異なる危険因子が複雑に絡み合っているのです。 どのような状況であれアルコールを乱用したからといって家庭内暴力が許されることは決してありません。 暴力的になりやすい、または怒りをコントロールできない場合、飲酒を避け、専門家にご相談ください。
もし家庭内暴力を受けている、または被害にあっている人がいる場合は、助けを求めることができます。 ガイダンスとサポートを得るために、地域の女性専用保護施設、児童サービス、虐待ヘルプラインにご相談ください。